農ある暮らしを楽しむ

 みき百笑園の農園主です。自宅の菜園と借りた畑(合わせて約4反)で約45種類の野菜を育て、JA三木の「ふれあい産直市場」に出荷しています。野菜を育てることで健康で心安らかになり、採りたての野菜のおいしさに感動しています。暮らしの中に「農」があることで生活が潤ってくるのを感じます。

 

 「農」と言っても、田畑で野菜などを育てて生計を立てる「農業」をさすのではなく、ひと昔前の農家ではあたりまえであった、「自分が食べる野菜は自分で育てる」「必要なものは自然にあるものを使って自分で作る」「余ったものはおすそ分けする」など、自然の中で自然にあるものを生かし、地域の人々が互いにつながり合って生きる暮らし方が「農ある暮らし」です。

 

 全国各地の農家は、JA(農協)の指導のもと、「・・・名産」「・・・産地」「・・・ブランド品」として、同じ野菜を大量に栽培しています。農家が生産した野菜はJAが一括購入し、全国各地へ長距離輸送されて、スーパーマーケットに並べられます。それらを消費者は買って食べています。皆さんがスーパーマーケットで買っている野菜の多くは県外産もしくは外国産です。地元で作られた野菜を食べる機会が少ないはずです。

 

 莫大な輸送エネルギーを使って遠くまで野菜を運ぶのではなく、地元の農家で作られたものを地元の人が買うことで、地元の農業を支えていこうという考え方も広まっています。いわゆる「地産地消(その土地で作られたものはそこに住む人が分け合って食べる)」が見直されてきています。

 

 さらに進んで、今では「自産自消(自分が食べたいものは自分で作って食べる」という生活スタイル、昭和初期の農家の生き方を再生しようという取り組みも始まっています。自分の家の近くにある耕作放棄された畑を借りて、家族みんなで自分たちが食べる野菜を自分たち家族で育て食べるというものです。いきなり畑を借りて自分で栽培するのはむずかしい人と思う人は、ベランダにプランターを置いて野菜を作って楽しむことから始めています。

 

 こうした「農ある暮らし」は、耕作放棄地のままにするのではなく、みんなでシェアして、有効に利用していこうというねらいもあります。さらには、子どもたちが野菜がどのように育ち、どのような世話をしているのかというのを実体験できる場になってほしいと願っています。次の農業を担っていく人材も育つきっかけにもなるに違いないと思っています。

 

 しかし、野菜を自分で作って食べるということは簡単なことではありません。畑を借りて野菜づくりをはじめても思ったように作れずに草が生えたままで放置されている市民農園をよく見かけます。各季節の野菜は年に1回しか作れません。失敗したら1年待たないといけないのです。でも、農業のプロから野菜づくりの基礎とコツを学ぶと、ほとんど失敗することはありません。だれでも短期間で「野菜づくりの名人」になれます。そのためには、最低でも3年間、農業のプロから野菜づくりの基礎基本を学ぶ必要があります。

 

 カルチャーファーム「みき百笑園」は、皆さんが野菜づくりの技とコツを学べる農園です。畑はもちろん、種や苗、農具、肥料など、栽培に必要なものはすべて農園主が用意します。手ぶらで農園を訪れ、畝立てから種まき・育苗、植え付け、芽かきや摘芯、そして収穫の仕方などの栽培実技講習を受け、実際に野菜づくりを1年間していただきます。水やりや除草、追肥、収穫などの栽培管理は各自の責任でしていただきます。野菜の育ちを見て、農園主が適切なアドバイスをします。自分が作った野菜はすべて自分の家に持ち帰れます。

 

 カルチャーファーム「みき百笑園」では、化学農薬はまったく使いません。病虫害をやっつけるのではなく、にんにくやとうがらし、木酢液などを混ぜ合わせた自然農薬を使ったり、ネットをかけたりして病害虫を寄せつけないようにしたりします。それでも長雨や日照りが続くと失敗して収穫ゼロのときもあります。自然の営みに寄り添いながらおいしい野菜をつくるための工夫をいろいろと試してみるのも野菜づくりの楽しみです。

 また、化学肥料を使いすぎると土の中の小動物や微生物が住めなくなり、土自体も固くなり、徐々に地力が落ちていきます。本当は有機肥料だけで育てたいところですが、多量の有機肥料を準備しなければなりません。化学肥料を使わないと、有機肥料を確保するのに多くの手間と労力を費やさなければなりません。そこで、土を壊さない程度に化学肥料も少し使います。できるだけ自然の中での物質循環を重視して有機肥料を中心にして化学肥料もバランスよく用いるようにしています。

 

 あなたも、農業体験や収穫体験等を通して、新しい安心安全な食生活、自然の中での快適な余暇活動、そして、同じ野菜づくりを学ぶ仲間との出会いを楽しんでみませんか。「農のある暮らし」があなたの生活に潤いをもたらします。「私も野菜づくりをしてみたい」「農ある暮らしをしてみたい」という方はお気軽にお問い合わせください。