みき百笑園は「農」ある暮らしを楽しむカルチャーファームです。「農」とは、ひと昔前には当たり前であった農家の生き方です。農家では生業である「農業」をしながら、庭先に野菜や花、果樹を植えて、自分たちが食べるものは自分たちで作っていました。また里山の樹木や竹を手入れし、燃料や堆肥に利用したり、生活に必要な民具を手づくりしたりしていました。
こうした農ある暮らしは不便で手間がかかり、煩わしさもあるが、その不便や手間、人付き合いを楽しむことで、心にゆとりが生まれ、地域のみんながつながっていました。「食べたいものは自分で育てる」「できるだけ物は買わない」「必要なものは自分で作る」「捨てずに活かす」「余ったら、ご近所に、おすそ分け」など、忘れがちになっている農家の知恵と文化をもう一度掘り起こし、次世代に伝えていきたい。
わが町、香川県三木町は田畑の間に団地が点在し、のんびりとした、まだ田舎の風情が残り、住みやすい快適な町です。しかし、農家では、農業を引き継ぐ人は少なくなり、米や野菜を作らない田畑が増えています。あと、10年もすると、田畑をもつ方の高齢化がすすみ、後継者がなく、田畑の耕起や除草さえもできなくなり、荒れ地になるのではないか。やがて田畑には背の高い雑草が生い茂り、殺風景なもの悲しい町になってしまうのではないかと心配しています。
そうならないように、団地のまわりにある田畑を地域のみんなで共有(シェア)することで、のどかな田園風景を守りながら、どの家庭でも、自分たちが食べるものは自分たちでつくる暮らし(自産自消)ができないものだろうかと思っています。
親子4人の家族であれば、10坪(約3m×10m)の畑があれば余るほどの野菜を自給できます。農薬を使わない、新鮮で安全安心な野菜をいつでも食べることができます。どの家でも自分の家のすぐ近くに10坪ほどの菜園があり、家族みんなで野菜をつくって食べることができる、自産自消があたりまえの町になってほしいと願っています。
しかし、「自分が食べる野菜は自分で育てる」と、言っても、農作業をしたことのない人がいきなり野菜を栽培することはできません。でも栽培の技とコツをちゃんと学べば、だれでも新鮮で安全安心な野菜をつくることができます。野菜づくりのプロから野菜のつくり方を習い、親子で農作業に親しむことで、小さい子どもたちが大人になった時には誰もが自産自消できる時代になているに違いない。また、野菜をつくることに魅力を感じて、「農業」を生業として選択する若者が増えてくるに違いない。
さらには、人生100年の時代の今こそ、退職後も家の近くの田畑で野菜や米を育て、土に触れながら、余暇を楽しみ、健康を維持し、余った食料を地域に供給する担い手となることで、ずっと地域社会とつながり、生きがいのある暮らしが実現できます。
わが町三木町は、これからも農地の管理が行き届き、緑豊かな田園景観が保たれ、どの家庭でも自産自消で安心安全に暮らせる「農ある暮らしを楽しむ」町になってほしいと願っています。私は、こうした思いで、カルチャーファーム「みき百笑園」を開設しました。
農業をされている方で、新たな農業経営として、自分の畑を使ってカルチャーファームを開いてみたいと思っている農家の方もご連絡ください。カルチャーファームの開園に当たってのノウハウをご紹介します。この地域に「農のある暮らし」を広げるために一緒に取り組んでいきましょう。ゆくゆくは「カルチャーファーム開設のための講習会」も開いていきたいと思っています。